絵本の店・星の子おすすめ絵本（その４）

「絵本の店・星の子」
今月のおすすめ絵本
（その４）
子供たちに愛され、
読みつがれ
みんなが好きになる
絵本をどうぞ

「今月のおすすめ」のいままでにご紹介した絵本です。（その４）

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今年（2002年）はケイチツ（啓蟄）と思う間もなく春が動き出して、
桜の開花まで一気に進んだようですが、冬眠からさめたカエルたちはどうしているでしょうか？
2つのカエルの本を紹介しましょう。

★ゆかいなかえる
ジュリエット・キープス　ぶん・え　いしい　ももこ　やく
	青と緑と黒色を効果的に使い、モダンな感じに仕上げられています。 4つだけ残ったカエルのたまごが、おたまじゃくしになってカエルになり、楽しく遊ぶ様子がとてもゆかいに描かれています。
	そして水辺の生きものたちとの生死をかけたやりとり、駆け引きもおもしろく、こうして生きつづけるんだナと合点させられます。夏を生き、また寒い冬にカエルは眠りについていきます。
福音館書店 900円＋税	内容はカエルの生活を描いていますが、その生態が正確に描かれ、かつ楽しい絵本として私たちを惹きつけます。かなり幅広い年令層の子どもたちに楽しんでもらえる絵本です。

★かえるだんなのけっこんしき
ジョン・ラングスタッフ　再話　フョードル・ロジャンコフスキー　絵　さくま　ゆみこ　訳
	この本は400年以上も前にスコットランドで生まれ、何代にもわたって歌い継がれてきた「おはなし歌」を絵本にしたものです。
	かえるだんなとねずみおじょうさんが結婚をすることになり、たくさんの動物たちがそれぞれ結婚の準備に駆けつけます。最後に来たギョロ目のおすネコの一言で、みんなはちりじりに逃げてゆき、花よめと花むこはフランスへ船旅へ・・・。
光村教育図書 1300円＋税	突拍子もなく面白く、スジはあってないような「おはなし歌」・・フョードル・ロジャンコフスキーの絵はとても生き生きして素晴らしく、魅了されます。

この4月から幼稚園・保育園や小学校など、新たな世界で翔こうとしている子どもたちへの
心からの贈りものとして2冊の本を紹介します。

★ようちえん
ディック・ブルーナ　ぶん・え　石井桃子　やく
	表紙は二人の子ども、男の子と女の子。腕組みをして口もとじ、ちょっと首をかしげて先生の話しに聞き入っている様子。つぶらな瞳をして・・・。
	本を開くとたくさんの子がようちえんに出かけていくところ。そして歌をうたったり、絵を描いたり、遊んだり、手仕事をしたり、誕生会もして・・絵のバックの色彩は明るく、読んでいる私たちの心も弾みます。最後は満足して帰っていく姿が描かれます。
福音館書店 600円＋税	小さな絵本の短いテキストの中に、なによりも絵本の表紙にようちえんが余すところなく表されています。

★くんちゃんのはじめてのがっこう
ドロシー・マリノ　さく　まさき　るりこ　やく
	以前紹介したくんちゃんシリーズの中の一冊です。この絵本の全ページに学校への期待と不安、そこで認められ自信をつけたこぐまのくんちゃんの姿が描かれています。
	期待に胸を膨らませていった学校で、字を読んだり書いたり算数の計算をしたりする上級生・・・なんにも出来ないくんちゃんは、イスに座ってちいさくちいさくなっていきます。ついにくんちゃんは開いていたドアから脱走！。
ペンギン社 950円＋税	でもいっこうにあわてない先生のやさしい導きで、たくさん認められて・・・。そして最後には、やさしい先生に腕いっぱいに花をつんで学校に持っていく、くんちゃんがかわいらしく描かれています。

★がちょうのペチューニア
ロジャー・デュボアザン　作　まつおか　きょうこ　訳
	家に飼われている動物の世界を楽しく描き出しているデュボアザンの数冊の本の中の一冊。ある朝ガチョウのペチューニアは散歩をしていると、地面の上になんだか変なものが落ちているのを見つけました。それは本だった。
	それを大事にしているものは賢くなる、そう信じたペチューニアは自信で首が長くなり、動物たちの悩みを次々に解決？していく。しかし最後にはとんでもない事件が起こり、みんな怪我をしてしまう。その経験を経てペチューニアは本の中身を頭や心に入れなければならないことに気づく・・・。
冨山房 1400円＋税	ペチューニアとそれを取り巻く動物たちの素直でおおらかな気質、平和で豊かな農場で繰り返されてきた営みが、デュボアザンの線画のような絵に表されていて楽しく気持ちよい。どうぞ他の本も含めて楽しんでください。

★カリジェの絵本　（６冊）の中から
アロイス・カリジェ　文／絵　（一部文のみ　ゼリーナ・ヘンツ）
	この本も久しぶりに復刊されたものです。この中の1冊を紹介しようと思ったのですが選びがたく、この6冊に流れるものをご紹介することにしました。「大雪」「ウルスリのすず」「フルリーナと山の鳥」「マウルスと三びきのヤギ」「ナシの木とシラカバとメギの木」「マウルスとマドライナ」どれも素晴らしいものばかりです。
	スイスの山に住んでいるウルスリとフルリ－ナという兄弟を中心に山での生活が季節感豊かに描かれています。冬の厳しい季節に行われる伝承行事の珍しさ、美しさ、動植物、鳥そして人間の営みの様子、自然のやさしさと厳しさなどがカリジェの文とステキな絵によって大型絵本の中にたっぷりと表されています。
岩波書店 2200～2300円＋税	スイスで育ったカリジェは「自分の子ども時代の輝きをすべての子、とりわけ街の子たちにいくらかでも伝えたい」と言っていますが、その願いが見事に結晶した絵本といえるでしょう。小学生くらいの子どもたちにぜひ読んで欲しい本です。

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