「絵本の店・星の子」 今月のおすすめ絵本 （その２） 子供たちに愛され、 読みつがれ みんなが好きになる 絵本をどうぞ

「今月のおすすめ」のいままでにご紹介した絵本です。（その２）

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前回に引き続き、お月さまがどこかに出てくる、そして「絵」がなんともすばらしい作品を紹介します。

★おやすみなさいおつきさま
マーガレット・ワイズ・ブラウン　さく　クレメント・ハード　え　せた　ていじ　やく
	いのちのありったけを全身で表し、エネルギッシュに動き回っていた子どもたちにも静かな寝入りのときがあります。 そんなひと時にいっしょに楽しむにふさわしい絵本です。
	日常をともに過ごしているものたちに「おやすみなさい」を言っていくシーンの繰り返しの中で時が流れ、やがて安らかな眠りが訪れている。 そうした時の流れをさりげなく一枚一枚の絵の中にあらわしています。
評論社 1000円＋税	何回も繰り返して読んでもらい楽しんでいくうちに、絵の色づかいやモノの動きの変化に、子どもたちはきっと気づくでしょう。 どうぞ読み手の大人たちは気づいていても解説しないでください。

★きつねのとうさん　ごちそうとった
ピーター・スピアー　え　松川　真弓　やく
	これはアメリカ・ニューイングランド地方の古いわらべうたを絵本にしたものです。
	きつねのおとうさんがある秋の夜、出かけていきました。 行く先は農家の鳥小屋。 そこでうまくあひるとかもをしとめ、とうさんは一目散に家を目指して帰ります。 それに気づいた農家の人を尻目にとうさんは無事家へ。 そこに待っていたのは10匹のこぎつねとかあさん、みんなで骨までしゃぶってごちそうを食べました。
評論社 1300円＋税	スピアの絵は深まりゆく秋を描き、その村の人々の生活を描き、その絵からこのわらべうたのもっている雰囲気がビンビン伝わってきます。 この地方へ行ってみたいナと思わせるステキな絵本です。

秋は「中秋の名月」にちなんで、お月さまが出てくる気持ちよく楽しい絵本を紹介します。

★たくさんのお月さま
ジェームズ・サーバー　文　ルイス・スロボドキン　絵　なかがわ　ちひろ　訳
	みんなに大切にされ可愛がって育てられているレノアという名前のおひめさま。なに不自由なく日をおくっているおひめさまの今一番の望みはお月さまがほしいということ・・・。
	このように始まるお話しはちょっとどこかで聞いたことがあると思うのですが、それを解決するのはおかかえの知恵者たちでなく、お城の道化師と想像力豊かで頭のやわらかいおひめさま自身だったという、実にスッとさせられるお話しです。
徳間書店 1600円＋税	スロボドキンの絵は、このお話しの持つ世界を実にのびやかに描き伝えていて、レノアひめは知的に愛らしく描かれています。

★つきのぼうや
イブ・スパング・オルセン　さく・え　やまのうち　きよこ　やく
	たて34cm　巾12cmという細長い変形の絵本が、この話をより立体的に展開させるのに役に立っています。
	夜空を明るく照らしているお月さまが、池の中にもう一人のお月さまがいることに気がつき、月のぼうやにその月を持ってきてくれと頼んだ。 月のぼうやはかごを下げて元気よく駆け下りていく。小気味よくトントンと落下していくぼうやの動きはリズミカルで気持ちよい。読んでいる自分もぼうやといっしょになって落ちていくような気分にさせられる。 そして見つけた手鏡、それをもって一気に駆け上がるぼうや。お月さまも大満足。
福音館書店 1000円＋税	あの夜空のお月さまが鏡をのぞき込んでニッコリしている姿を想像すると楽しくなる。そんな楽しみを与えてくれるかわいい絵本です。

この夏にふさわしい、とても愉快で心あたたまる、ぜひ読んでいただきたい２冊をご紹介します。

★かしこいビル
さく　ウイリアム・ニコルソン　やく　まつおかきょうこ　よしだしんいち
	ある日メリーはおばさんから「遊びにいらっしゃい」という手紙を受け取り、荷造りを始めます。あれやこれや工夫しますが、大切な人形のビルを詰め忘れます。
	ビルは涙の中から決然と立ち上がり、汽車を追いかけます。走って走って追いつき、メリーから「かしこいビル！」と賞賛されて特別の存在になります。
ペンギン社 1000円＋税	一見乱雑な感じの絵本ですが、よく見ると絵が細部に渡ってしっかり描かれ、子どもにとって人形がどれだけ大切なものかが伝わってきます。センダックは子どものために作られた「完璧な絵本」の一冊であると絶賛しています。

★沖釣り漁師の　バート・ダウじいさん
さく　ロバート・マックロスキー　やく　わたなべしげお
	バート・ダウじいさんは年取った沖釣り漁師です。今でも２そうの船を持っています。一つは花壇がわりに、もう一つは「潮まかせ」という船で、あるとき沖にたら釣りに出かけます。ところが釣ったのはクジラ、海が荒れて船ごとクジラのお腹に入ってしまいます。
	そして奇想天外な方法でクジラから出てきます。出てきた後に多数のクジラがバート・ダウじいさんを取り囲みます。どうしてでしょう？、最後まで愉快な話しの展開で、少し長めながら読み手をとりこにします。
童話館出版 2200円＋税	マックロスキーの絵本にしてはカラフルで美しく、目をみはります。本の中から伝わってくる潮の香りをかぎながら、なんとも面白い冒険話を味わってください。きっとワクワクします。

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